素質馬ペルーサに3つの進化/天皇賞
藤沢和厩舎の大黒柱が大いなる進化を遂げた。天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、30日=東京)に出走するペルーサ(牡4)の充実が著しい。3歳時はゲート難など幼い面を残していたが、古馬になってひと夏を越した現在は、トレーナー、厩舎スタッフが驚くほどの成長カーブを描いている。昨年2着の素質馬がいよいよ本格化の気配か。
1週前追い切りが行われた20日、坂路を猛然と駆け上がるペルーサを目の当たりにした藤沢和師は「この馬はこんなに速い時計が出るのか」と声を上げ、葛西助手は「去年とは全然違うよ。別の馬になった」と自信を隠さなかった。1番時計、そして自己ベストの4ハロン48秒9-12秒7。涼しい顔で引き揚げる栗毛馬を、厩舎スタッフは納得の表情で出迎えた。4歳秋を迎え、ペルーサは大きな変貌を遂げた。
▼成長(1)肉体改造
具体的には何が変わったのか。トレーナーは「古馬の体になってきたよ」と馬体の充実を挙げる。今夏は北海道のファンタストクラブで休養に専念。その結果、20キロほど馬体が成長した。葛西助手は「520キロくらい。すごい体になったでしょう。以前は弱いところもあったが、この秋はもう心配いらないよ」と胸を張る。トモをはじめ全体のボリュームアップに成功した結果が、1週前の時計だった。
▼成長(2)調教強化
強い体は厳しい調教を可能にした。同じ長期休養明けだった昨年の毎日王冠。帰厩からレース当週の火曜日までに行った調教は坂路19本、ウッド1本、芝1本だった。だが今回は坂路26本、ウッド2本、芝1本に増量。1日に坂路を2本乗る「2本乗り」も2回から5回に増やした。13日と17日にはウッド4ハロン67秒台、ラスト1ハロン12秒台を乗り、20日は坂路で自己ベストと内容も濃厚。「休み明けに実績はないし、10回の調教も1回の実戦にはかなわない。だが、それを分かった上で使うんだから。意識してやっているんだ」と同師は力を込めた。
▼成長(3)ゲート難解消
昨年あれだけ悩まされたゲート練習を、天皇賞・春以降はほとんど行っていない。「ここ2戦が完璧だからね。去年の秋はきつい競馬が続いたから馬も苦しかったんだろう。でも、もう大丈夫だ」と同師。リフレッシュされた今なら出遅れの心配はない。昨年2着は出遅れながら追い込んだ。「あれから見たら今はずいぶん違う。休み明けだけど頑張ってくれると思うんだ」。天皇賞・秋は現役最多の18出走で4勝を記録する勝負師の言葉を、聞き逃すわけにはいかない。【松本岳志】
◆父も4歳秋から本格化 父ゼンノロブロイは前哨戦の京都大賞典こそ2着だったが、天皇賞・秋を勝利すると、続くジャパンC、有馬記念で破竹のG13連勝を決めた。藤沢和師は「お父さんも4歳からだったね」と振り返る。現4歳世代がゼンノロブロイの初年度産駒。牝馬は早くからクラシックをにぎわせたが牡馬は目黒記念2着のハートビートソング、先週オープン入りしたモンテエンなど古馬になって一層の飛躍を遂げている。
[2011年10月26日8時29分 日刊スポーツ紙面から]
天皇賞秋・ぺる情報-日刊スポーツ-
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