津波被害のあった福島県南相馬市で、厩舎(きゅうしゃ)のがれきの下から3週間ぶりに助け出された馬が、1000年以上の歴史を誇る国重要無形民俗文化財「相馬野馬追(そうまのまおい)」への出場を目指し、練習に励んでいる。復興への願いを込めて付けられた名は「サンライズ」。今年の開催は未定だが、関係者は「伝統の舞台で雄姿を見せてほしい」と期待を寄せる。
サンライズは推定8歳の雄馬。子供たちが馬と触れ合う活動に取り組むNPO法人「馬とあゆむSOMA」(相馬市中村)が被災した馬の保護活動を始めたところ、4月上旬、福島第1原発事故による政府の避難指示で飼い主が避難していた厩舎のがれきに、約20頭が埋もれているのを見つけた。うち半数は既に息絶え、サンライズは全身傷だらけで膝まで水につかったまま。同NPOの川嶋麻紗美(あさみ)さん(31)は「助かった馬の中で一番ひどいけがをしていた」と振り返る。
3日がかりで、がれきを取り除き救助した。置き去りにされたためか、人間への不信感が強く、かみつくそぶりも見せた。だが、川嶋さんたちが献身的にケアするうちに、徐々に人間への信頼感を取り戻した。
保護した馬たちは飼い主に返したり引き取り手を探したが、川嶋さんは「サンライズは人前でも動じず度胸があり、野馬追に向いている。津波で助かった生命力と可能性に懸けてみよう」と、例年7月に開催される野馬追を目指すことを決めた。
相馬野馬追は、よろい姿の騎馬武者が勇壮に駆ける伝統行事。サンライズとペアを組む予定の相馬市職員、遠藤真さん(45)は、ゆくゆくは飼い主になるつもりで練習に励んでいる。「一度人間に心を閉ざした馬だからこそ、世話をしていこうと思った。サンライズと一緒に、復興への勇気と希望を与えたい」。二人三脚で早朝のグラウンドを駆け、初陣を飾る日を待ち望んでいる。【金寿英】 毎日新聞2011/6/4
震災の後初めて知った相馬の野馬追。
関係者は今年の開催をまだ諦めてないとのこと。
サンライズの雄姿が見れることを楽しみにしています。
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